剣城くんは押し強い


***


『あやくん、いつになったらゆずのことすきになってくれるの〜?』

『…は?』


ゆずなにプロポーズ(?)をされて以降、毎日彼女からの押し強い攻撃が始まった。

顔を合わせては、『あやくん、おはよう。すき〜』とか、『あやくん、きょうもかっこよくてすき〜』とかとか。

何度も何度も"好き"だと伝えてくれた。


『あやくん、まだゆずちゃんのことすきじゃないの〜?』


ゆずきが飽々とした態度で話に入ってくる。


『…だから、なんかいもいってんだろ。おれはべつにすきじゃないんだよ……』

『あやくん、ゆずとけっこんしよー』

『はなしきけよ!』


くそっ。何でこんな押しが強いんだよ…。

しかもこいつ、なんか可愛いから、余計困る。


『…ゆず、なんでおれとけっこんしたいの?』


頬を紅潮させながらそう聞くと、ゆずなは、ぱちくり、瞬きをする。


『チョコレートくれた!』

『けんかしたつぎのひにおれのことすきになったってか!?おまえ、あたまおかしーな!?』


お菓子をあげただけで好きになるなんて、どんだけ単純なやつなんだ。

あまりにもチョロすぎて、逆に心配になってきた…。