剣城くんは押し強い



『…お、おいゆず!なにけっこんとかいみわかんねーこといってんだよ…!おまえ、おれのことべつにすきじゃねーだろ!』


俺たちは、タイマンを張った仲(ただの殴り合い)だというのに、どうして"結婚"という流れになるんだ。


『ゆず、あやくんのことすきだよ。だからゆずとけっこんしよー』

『いや、なんでだよ!!』

『あやくんは、ゆずのことすきじゃないの?』


じっ…と、真っ直ぐ見つめられて、思わず言葉に詰まってしまう。


『……す、すき、じゃ、ない……』


この時、本当は、恋心を抱いていることに気づいていたにも関わらず、素直に『好き』であると言葉にできなかった。


『ふーん、そっかー』


ゆずなは、何も気にしていなさそうにそう言った。


『ゆずちゃん、あやくん、おめでとう〜』

『しゅくふくすんな、あほゆずき!!』

『しゅくふくってなあに?』

『うるせーっ!!』


顔を赤らめて、そっぽを向く。


本当、調子が狂う。

なんなんだよ、こいつら……。