何が起こったのか理解できなかったゆずきは、あまりの痛さにじわり、目に涙を浮かべて泣き出した。
『ゔわぁぁぁっ!い"た"い"よ"ぉぉっ!!』
大泣きするゆずきを見下ろし、鼻で笑う。
『うせろ、ざこ』
俺を女って言った罰だ。
ざまあみろ。
すると、今度はゆずなが俺の頭をポコッと叩いてきた。
『……てめぇ…』
頭を押さえながら、鋭い目つきで睨むと、向こうも睨み返して、『ゆずきたたくな!!』と、大声を上げる。
さっきまで全然喋らなかったやつが急に大きな声を出してきたため、内心驚きつつ、
『しらねーよ。だってこいつがおれのこと"おんなのこ"っていったんだもん。おれなんもわるくねーし』
そう言ってやり返すと、ゆずなも目に涙を溜めながら、
『ゆずきたたいた!ゆるさない!!』
『あ?やんのかこら』
この後、俺とゆずなの殴り合いの喧嘩が始まった。
俺たちが喧嘩をしていることに気づいた母さん2人が間に割り込んで、母親同士、頭を下げて、事態は何とか治った。
こうして、俺と盾石姉弟との最悪な出会いが始まったのだ───。


