『何が"ちゃんと諦めるから"だ!!ふざけんな、意味わからんわ!!人の話を聞け、馬鹿野郎!!私の気持ちは無視かっ!?』
目立つことが苦手だ。
こうやって、皆の前に立って話すことは得意じゃない。
いっそのこと、今すぐ逃げ出したい。
『剣城くん、この前言ってたじゃん!"辛いこととか、しんどい時があったらいつでも言って"って…。"ずっと盾石の側にいるから"って、言ってたのにさ!最近、私のこと避けてるよね!?自分で言ったくせに、全く真逆の行動とってるよ!!剣城くんの嘘つき!詐欺師!くそ野郎!!』
散々文句を言った後、息を整えながら、観客の方を見渡す。
すると、ある一人の人物と目が合った。
……恋の力って、すごいな。
こんな沢山の人たちがいる中でも、一発で好きな人を見つけることができる。
『剣城くん、私は怒ってるんだよ…』
避けられて、目も合わせてくれなくて、すごく悲しかった。
剣城くんの笑った顔、また見たいよ。