剣城くんは押し強い


……噂って、何?

あと、柚希がよく話してるって…。

奴は一体、この司会者にどんな話をしたって言うんだ。


『…もしや、今から彼氏の剣城に不満をぶつけるんですか?』

『いいえ、彼氏じゃないです』


───そう、剣城くんは彼氏じゃない。


『今から彼氏になってもらおうかなって、思ってます…』

『…へっ??』


「付き合ってないの?」と、言いたげな顔で目を丸くする司会者を無視して、私は大きく息を吸い込んだ。



『……剣城くんの、ぶぁあああああああああかっ!!!!』



私の大声で、キーンッ…と鼓膜を切り裂くような高い音が校内に反響する。


見てますか、剣城くん。

別に見てなくてもいい。

聞いているだけでいい。

でも、私の堪忍袋の緒が切れたので、これから剣城くんに思いを伝えます。