剣城くんは押し強い







「…あのっ!」



目的地に到着すると、舞台袖にいる実行委員の生徒に「エントリーしてないんだけど、参加、していい、かな…?」と、息を切らしながら尋ねると、「大丈夫だよ〜!」と笑顔で答えてくれた。

すると、ステージ上にいる司会者の生徒にジェスチャーのような、身振り手振りで、お互い合図を送り合う。


「次、行けるみたいだから頑張って!はい、これマイク」


実行委員の生徒からマイクを受け取り、「ありがとう」とお礼を言う。


『さて、お次はエントリーされてない方です!ステージへどうぞ〜!!』


司会者の声で、ゆっくりとステージに上がっていく。


『学年・クラス、名前をお願いしまーす』

『2年3組、盾石 柚奈……です…』


視線を下の方に向けると、大勢の人たちが私を見ていて、思わず気が引けそうになる。

更には、手汗が滲み出てきた。


『本日、参加しようと思った理由お聞きしてもいいですか〜?』

『えっと、お、同じクラスの人に言いたいことがあって……』

『へー、そういえば、"盾石さん"って……。あっ!剣城と噂になってる人ですよね!柚希からよくお2人の話聞きますよ〜!』

『…は?』