剣城くんは押し強い



「盾石にしか頼めないんだよ。盾石じゃないとマジで困る」


悲しそうに眉を下げて、まるで捨てられた子犬のような表情で見つめられ、ゔっ…と反論出来なくなる。

助けを求める視線をももちゃんに送ったが、「ご愁傷様です…」と言った顔で私に向かって合掌してきた。


ももちゃん、なぜだ。
助けておくれよ、ももちゃん(泣)


「……わかったよ、付き合えばいいんでしょ……」


地を這うような声で了承すると、剣城くんは満足そうに笑顔で「ありがと」と軽く私の頭を撫でて友人のいる所へと戻っていった。


…あの人、急に現れたと思ったら、用が済んだらあっという間に自分の席に行ったんだけど。

剣城くんってもしや神出鬼没??


そんなことを考えていると、5時間目を告げる予鈴が鳴ったのだった。