剣城くんは押し強い



「そんじゃ、俺ら中庭行ってくるわ〜」


矛杉くんと剣城くんが手を振って、その場から去って行く。


「俺たちも行くね。盾石、応援してるからさ。頑張れよ」

「ゆずな、弓地じゃあな〜」


槍田くんたちも柚希に連れられて歩き出す。

柚希たちの背中を見送ると、ももちゃんが「次、どこ行く?」と聞いてきた。


──『───…俺 今から"我らの主張大会"に出場しなきゃなんだよ〜』


矛杉くんの言葉が頭に過った。


「……ももちゃん」

「ん?」


中庭を見つめる私に、ももちゃんは首を傾げる。


さっきまでは、恐ろしい公開処刑だと思っていたけど…。

でも、このままだと剣城くんはきっと、話を聞いてくれないだろう。


「……私、自分の思い(・・・・・)、叫んできてもいいかな…」

「へっ?『自分の思い』って…。まさか柚奈───…」


驚くももちゃんに、コクリと頷く。


剣城くんに、思いを伝えに行きますか?▼
▶︎はい
 いいえ


そんなの、選択肢を出さなくたって、答えは決まっている。


「行ってくる!」


ニッと笑って、中庭に向かって走り出した。