「柚奈と桃愛、次交代だよーん」

「了解、ありがと〜」


店番をクラスメイトたちと交代してもらい、私たちは、他のクラスの出し物や出店を回ることにした。

文化祭が始まってから、剣城くんとは全く話せていない。

何度も機会をうかがおうとするが、彼の周りは剣城くんを目当てでやって来るお客さんたちで溢れていて、とても話しかけづらい状況だった。

せっかくももちゃんが背中を押してくれたというのに、涙目になって彼女の腕にしがみつくと、「まだ時間あるから」と言って、頭を撫でてくれる。


「柚奈、とりあえず今は楽しもうよ。せっかくの学校行事なんだしさ」

「うん…」


廊下を歩くと、個性的な衣装を身に纏い、看板を持ちながら宣伝をする生徒や他校の生徒、外部の人たちの声で賑わっている。


『ただいまより、"思いを叫べ!〜我らの主張大会〜"を開催しま〜〜〜す!!!』


中庭に設置されているステージの方から、司会者のマイク音が校内中に響いた。


「中庭の方、だいぶ騒がしいね」


そう呟くももちゃんに、コクリ、と頷いて、廊下の窓から中庭のステージを眺める。