「ひょえっ!?つつつ、剣城く、な、何かご用で?」
勢いよく上体を後方に反らして、一歩距離をとる。
剣城くんはニコニコ微笑んでいて、「あのさ」と口を開いた。
「今日の放課後、空いてる?」
「へっ?ほ、放課後??」
「うん、ちょっと付き合ってほしくて…」
「つ、付き合う…??」
私、今日何か予定あったかな。
いや、いつも放課後は暇を持て余しているから急用が入ることなんてまずない。
何か些細なことでもいいから今日の放課後、予定入れておけばよかった…と今更後悔をする。
「…ちなみに、お断りさせてもらえることってできますかね……」
恐る恐るそう聞くと、爽やかな笑顔で「できないに決まってんだろ?」と返してきた。
なんて図々しい男なんだ!!
誰だ、この男に"白馬の王子様"なんて意味のわからないことを言い始めた人!!
出てこい、全力で否定してやる…!!
この人は自分勝手で人の意見を尊重してくれない男なんですよって、王子様要素一つもありませんよって、言ってやりたい。


