「…私、昔、『クローバーとひまわりが好き』って言ったら、剣城くん、そのこと覚えてくれてて、この押し花、くれたんだよ……」


小さい頃、剣城くんは、私にこう言ったんだ。

『好きなお花は何?』って。


「……何のこと?」


眉を下げて、じっ…と私を見据える剣城くんに、「ちゃんと答えて」と声を震わせながら言う。


「これは、剣城くんが私のために作ってくれた大切な物……」


たとえ、忘れていても、覚えていなくても、大切にしていようって…。

私にとって、この押し花は、思い出の宝物に違いなかった。


「話はそれだけ?」

「えっ…」


伏し目がちに、小さくため息をつく剣城くん。

いつもより少し素っ気なくて、ズキッ…と胸が痛んだ。


「盾石、日誌はいつも一人で書いてたのに、何故か今日は一緒に書くの手伝ってって、頼んでくるから、何か言いたいことあるのかなって思ってたんだけど…。その手に持ってるやつ聞くために俺を呼び止めたの?」


剣城くんは、僅かに目を細めて言葉を紡ぐ。