月曜日。
今週に控える文化祭に向けて、放課後は、浮き足立つ生徒やクラスの出し物の準備をする生徒で大忙しだった。
そんな中、私と剣城くんは、本日、日直に当たってしまったわけなのだが…。
私は、勇気を振り絞り、日直を口実にして、日誌を書くのを手伝ってほしいと頼んだ。
「剣城くん」
日誌を書いていた剣城くんが、ゆっくりと顔を上げる。
「何?」
空き教室に2人、向かい合うようにして座り、廊下の方からは、生徒たちの賑やかな声が聞こえてくる。
「……」
「……」
沈黙が続く中、私の誕生日───剣城くんを思い出した日の出来事が脳裏に再生される。
ーーー
ーー
ー
『……お父さん』
『ん?どうした?』
リビングに戻ると、お父さんと柚希がお母さんの日記を一緒に読んでいる最中だった。
『…剣城 絢人って知ってる?』
目を腫らした状態のままそう聞くと、お父さんは、きょとんとした顔で頷く。
『もちろん、知ってるぞ?ほら、夏休みの日、柚奈が体調崩して迎えに行った時、久しぶりに会っただろ?』
『えっ、そうだっけ…?』