剣城くんは押し強い



───えっ…。


見覚えのある名前に、息が止まりかけた。

次第には、心拍数が上がっていき、震えそうになる手を抑えながら続きを読んでいく。





5月○日 ○曜日 晴れ


ゆずちゃんが嬉しそうな顔をして帰ってきた。

「これもらったの〜!」と言って見せてきたのは、なんと、四つ葉のクローバーの押し花。

本にも挟めるタイプの大きさで、お洒落すぎてびっくりした。

「誰にもらったの?」と聞くと、ゆずちゃんは、「あやくん!」と即答。

まさかの絢人くんからのプレゼントだと…!?

絢人くんの母も、高校生の時からお洒落な人だったし、さすが親子なだけあるわ〜。






───ドクンッ。


心臓が、これまでにないくらい、大きな音を立てる。


読みかけの日記帳を片手に、ヨロヨロとおぼつかない足取りで、自室へと向かう。

筆箱の中にしまっていた押し花を取り出した。

ズキッ…と、頭に痛みが走る。

その痛みに耐えながら、私は、再度日記に目を通す。