「…ま、別にいんでない?付き合ってみたら?剣城だって一人の人間だし、思春期真っ只中のお年頃じゃん?槍田のことは忘れて新しい恋に進むのも人生ってもんよ?」
「わ、私別に剣城くんのこと好きじゃない…」
「いや、それは知ってるけどさ。いつまでも過去の男に執着してたら時間の無駄じゃん。あたしが柚奈の立場だったら速攻で剣城と付き合うけどね」
「剣城、イケメンだし」と、最後に付け足して、にひっと笑うももちゃんにジト目で見つめ返す。
…"執着"、してるのかな。
片想い(?)ではあったけど、これが本当に恋なのかどうかも正直わかっていない。
でも、槍田くんは結局私のことをどう思っていたのかだけはどうしても知りたい。
私のことは好きだったのか、それとも特に何も思っていなかったのか。
ただ、それだけ───…。
「盾石〜」
ぎゅむっ。
教室に戻ってからも槍田くんのことを考えていた時、剣城くんに呼ばれて振り向こうとしたら、横から耳たぶをつまむようにして軽く引っ張られた。


