剣城くんは押し強い


黙り込む柚希を横目に見る。

まだまだ猛暑が続く炎天下の中、白い雲がいくつか浮かぶ青空を眺めていると、

「ごめん、2人ともお待たせ…!」

お父さんが小走りでこちらにやって来た。


「急にいなくなったからびっくりしたよ〜」

「だって父さん、いつも長いんだも〜ん」

「私と柚希、暑いの苦手なんだよ〜?」

「あはは、ごめんって〜!まあ、確かに、2人は日焼けすると全身真っ赤になるもんな!そういうとこ、母さんの遺伝引き継いでるよな〜」


私と柚希は、小さく笑って、歩き出す。


「よし!お昼ご飯は外食にしよう!」

「マジ?やったー!オレ、肉食べたい!」

「おっ、いいな!そんじゃあ、お昼の後はケーキ買って、今日はパーティーだ!!」

「ろうそく17本、よろしく」

「えっ…!?」

「いや、17本もいらなくない?」


私たち3人は、口々に話しながら、霊園を後にした。