剣城くんは押し強い


ある程度終えてから、香炉にお線香を置き、私たちは、長いこと手を合わせた。


お母さん。

私と柚希は、今日で17歳になりました。

お父さん、柚希、私の3人で、なんとか元気に暮らしています。

高校も楽しく過ごせているから、心配しないでね。


それと、あとね。

私、好きな人できたんだ。

剣城くんって言ってね。

押し強い攻撃で私に「好き」と言ってくれたり、時々何を考えているのかわからなかったり、急に見せる真顔が怖かったりするけど……すごく優しい人なんだ。

今更、告白して成功するのかどうか、可能性が低かったとしても───…私が剣城くんに想いを伝えられたら、また報告しに来るから。だから、もう少し待っててね。

私、頑張るから…!!


長々と、言いたいことを言って、ゆっくりと手を下ろす。

ふと、隣の方を見ると、柚希とばっちり目が合い、お互い頷く。

そして、まだ手を合わせているお父さんを置いて、今いる場所から離れた。

木陰に入って、遠い場所からお父さんの背中を見守る。


お父さんを1人にさせたのには、理由がある。