この馬鹿…!と、柚希の頭を軽くはたいた。
「…えっと、なんかごめん。でもオレ、祝ってくれたのは普通に嬉しかったし、その……父さん、泣かないでよ……」
柚希がそう言うと、しょんぼりしていたお父さんは、パッと顔色を明るくさせて、「父さんは大丈夫だよ…!!」と、胸を張って返事をする。
「いやぁ、それにしても、2人とも大きくなったなぁ…!!」
嬉しそうに微笑んで、私たちの頭を優しく撫でるお父さん。
この年になって撫でられるのは、少し照れくさいと思いつつ、2人顔を見合わせてはにかんだ。
「朝ご飯できてるから、冷めないうちに皆で食べよう!」
お父さんの言葉に頷いて、私たちはリビングへと向かう。
そして、部屋を出ようとした時、「柚奈、柚希」と、優しい声色で呼び止められる。
「朝ごはん食べ終わったら、母さんのとこに行く準備、よろしくな」
お父さんは、眉をハの字に下げながら笑って、部屋を後にした。