剣城くんは押し強い


……なんだ、そういうことか。

盾石が急いで帰ったのは、"槍田くんと会うため"だったってことか。


ズキッ…と胸元辺りが痛くなってきたのを気づかないフリをして、「……盾石」と名前を呼ぶ。


「な、何でしょうか…」

「暗いから送ってく」

「あっ…ありがとうございます……」


槍田くんは、どうして盾石を送って帰らなかったのだろう。

そもそも、槍田くんと2人で一体何をしていたのだろう。

わざわざこんな時間に会う程のことなのだろうか。

そういえば、盾石が教室を出て行こうとする際に、弓地が『頑張ってこい』と、声援の言葉をかけていた気がする。

ひょっとして、盾石は槍田くんに───…。


「さっき一緒にいたの、槍田くんだろ?」

「あっ、うん。…あれ?剣城くん、槍田くんのこと知ってたの?」

「顔は見たことなかったけど、名前だけは聞いたことあった」

「そうなんだ…」


───俺は、不意に足を止めて、こう問いかけた。



「……ちゃんと話せた?」



2人の間に何があったのか、詳しくはわからないが、あえて"告白した"のだという前提で話を進める。