剣城くんは押し強い


思い返してみれば、盾石は槍田くんに好意を寄せている。

"脈あり"とか言う以前に、結果はもう既に決まっているじゃないか。

ぐるぐると後ろ向きな考えをしながらコンビニを出ると、

「……あっ」

ちょうどコンビニの前を通り過ぎようとしている2人の高校生男女と目が合った。


1人は、他校の制服を着た男子生徒───恐らく槍田くん。そして、もう1人は───…。


「つるちゃーん!どうしたんだよ、急に立ち止まって──…んっ?あれ!?盾石じゃん!」


槍田くんの隣にいる盾石が驚いた表情でこちらを見ていた。


俺らより早くに学校を出たはずなのに、どうしてこんな遅くまで……。

慌てて帰った理由が槍田くんと何か関わっているのだろうか。


少し、嫌な予感がする。


「えっと、じゃあ、俺帰るね。盾石、頑張れよ」


槍田くんが盾石に手を振ってその場を後にした。

矛杉も気遣いからなのか、「用事思い出したから今すぐ消えるわ」と一言告げて、俺と盾石を取り残して走り去って行く。


ふと、盾石と弓地の会話を思い出した。


『ごめん、ももちゃん。私、先に帰るね…!』

『ん?あぁ…そっか。頑張ってきなよ?』

『う、うんっ…!』