「……片想いって、辛い」
呟きながら大きなため息をつくと、矛杉は、不思議そうに首を傾げる。
「『片想い』って……。盾石に振られるのマジで確定してんの?えー…っ、なんかつまんねー。俺、てっきり2人はもう両想いなんだと思ってた」
……は?
「どこをどう見たら両想いなわけ?」
「んー…っと、雰囲気?つるちゃんを見る盾石の表情が今までと違うっていうか…。なんか、夏休み明けてから盾石、可愛くなったっていうか、垢抜けたっていうか?つるちゃんの魅力に気づいて盾石がとうとう乙女に目覚めたのかと予想してたんだけど……気のせいか!」
ニパッと笑った後、矛杉は「…あっ、『かわいい』とか言っちゃったけど、恋愛感情は一切ないから安心して」と付け足す。
俺も一瞬だけ"脈あり"なんじゃないかと考えたことがあった。
しかし、矛杉の言う通り、夏休み以降になってから、盾石が綺麗になったのは事実だ。
それが俺と関係しているのかどうかは知らない。
けれど、盾石が俺を"好き"だというのは、矛杉の勘違いだと思う。


