剣城くんは押し強い






「つるちゃん、やっぱさ〜。何かあったんだろ?」


学校を出た後、矛杉と共にコンビニに寄って、何を買うか悩んでいた最中、

「盾石と喧嘩でもした?」

視線を商品に向けながら、唐突な質問をしてくる。


「…何もないから」

「ふーん?……あっ、まさか盾石に振られたとか?」

「……」

「じょ、冗談だって〜!つるちゃんが振られるとかありえねーもんな〜!」

「……まだ完全に拒絶されてはいないけど、たぶん、振られると思う…」


俺が一方的に想いを伝えていただけだし。

それに、実際に『私は好きじゃない』って、本人の口からはっきり言われたことだってある。

盾石が今、俺をどう思っているのかは正直わからない。

嫌いなら普通、『近寄るな』とか『関わってくるな』とか、言ってくるはずだ。


少し攻めすぎた行為をしてしまったことは自覚済みではあるが、俺のこれまでの行いは、彼女にとって逆効果だったのかもしれない。


つまり、盾石には全く響いていないということ───。


一人で勝手に納得してしまい、あまりにも自分が愚かに感じた。