「…っ、つるぎくん、と…一緒に作業したかった、から……」


───えっ…。


ドクンッ…と、心臓が音を立てる。


"俺と一緒に作業をしたかった"って、どういう意味なんだろう。


頬を赤らめた状態で見上げてくる彼女に再度、心臓が飛び跳ねて、動揺する素振りを見せないよう、平常心を保つ。


「……何、その思わせぶりな言い方」

「えっ…」


体温が上昇していくのを必死に抑え、ぎこちなく笑って誤魔化した。

もしかして、盾石は俺のこと───…なんて、勘違いも甚だしい考えが頭の中に浮かんでしまい、『そんなわけがない』と、自分に言い聞かせる。


「……剣城くん」

「んー?」

「…その、看板……い、一緒に手伝っても、いい?」

「いいけど、やっぱ一人じゃ大変だった?」

「う、うん!そうみたい…!!」


近くに置いてある刷毛を「はい」と言って渡す。

それを受け取った盾石は、ゆっくりと腰を上げて、一歩こちらへと距離を詰めた。

その時、丁度お互いの肘が当たり、何故か肩が密着する状態になる。

思わずぴくり、と反応してしまい、次第には、心拍数が高まり、冷めかけていた体もじわじわ熱くなっていく。