「えっと、じゃあ、俺帰るね。盾石、頑張れよ」
「へあっ!?う、うん。今日はありがとう……」
槍田くんは手を振りながらその場を後にする。
槍田くんの背中を見送っていると、矛杉くんが気を遣ってくれたのか、
「用事思い出したから今すぐ消えるわ」
と告げて、私たちを取り残して走り去って行った。
「「……」」
しーん…と、どこか気まずい空気に包まれる。
「……盾石」
頭を必死に働かせ、何か良い話題がないか考えていた最中、剣城くんが先に口を開いた。
「な、何でしょうか…」
「暗いから送ってく」
「あっ…ありがとうございます……」
小走りで彼の元へ向かい、2人肩を並べて歩く。
「さっき一緒にいたの、槍田くんだろ?」
「あっ、うん。…あれ?剣城くん、槍田くんのこと知ってたの?」
「顔は見たことなかったけど、名前だけは聞いたことあった」
「そうなんだ…」
槍田くんって、結構有名な人なのかな。
今は知らないけど、中学の時はバレー部のエースで注目されていたから、それで剣城くんも知っていたのだろうか。
そんなことを思っていると、剣城くんが足を止めて私の目をじっ…と見つめる。