どうしようもない感情が押し寄せてきて、より一層胸が締め付けられていく。
一体、どんな言葉をかければいいのかわからない。
何が正解だったのか、何が間違っていたのか、私はどう返せばよかったのだろう。
「ありがとう。こんな私を、好きになってくれて……」
ぐっと目に力を込めて、今にもこぼれ落ちそうな涙を堪える。
泣くのは、私じゃない。
1番辛いのは、槍田くんだ。
「盾石もありがとう。俺の話聞いてくれて…。想い伝えられて本当に良かった」
「……っ、私は何も……」
「俺はすごく感謝してるよ。中1の時に盾石と出会って、一目惚れして、恋を知って、卒業してからもずっと、未練が残ってた…。でも、これでやっと前に進める。だから、盾石には『ありがとう』っていっぱい伝えたい」
槍田くんは、朗らかな笑みを浮かべて、私の前に手を差し出した。
「これからも友達として、よろしくお願いします」
彼の言葉に何度も頷いた私は、
「こちらこそ!」
笑顔で答えて、槍田くんの手を強く握る。
───こうして、私と槍田くんとの中途半端な関係は、終止符を打つことができたのだった。


