剣城くんは押し強い






駅前の広場に到着した私は、息を整えながら槍田くんの姿を探す。


「……」


ぐるりと辺りを見るが、まだ槍田くんは来ていないようだ。





「盾石!」


数分後くらいに、槍田くんに呼ばれて、声がする方へと視線を移す。


「ごめんな、待たせちゃったよな?」

「大丈夫だよ」


そう言うと、槍田くんは、安堵したため息をついてから、手に持っているジュースを私に差し出した。


「盾石の学校、今文化祭準備期間って聞いたから、ジュース買ってきたんだ。よかったらもらって!」


「どーぞ!」と笑顔で渡してくれたので、お礼を言いながらありがたく受け取った。


「…あの、槍田くん」

「ん?」

「話したいことって、何…?」

「あー…その……」


彼が何を話したいかなんて、馬鹿な私でもすぐにわかった。


「ここで話すのもなんだし、場所変えていい?」

「……わかった」