剣城くんは押し強い


制服のポケットに入れていたスマホがいきなり振動して、ビクッと体が飛び上がってしまう。

どうやら、誰かが私のスマホに電話を掛けてきたようだ。


「ご、ごめん…」


立ち上がり、急いでその場から離れた後、画面を見ると、『槍田くん』と書かれた文字が表示されていた。


「も、もしもし…」

《あっ、もしもし盾石?急に電話してごめん》

「ううん、大丈夫」

《さっき部活終わったとこなんだ。今から待ち合わせの場所行くから、盾石はゆっくりでいいよ》

「えっ、う、うん…」


時刻を確認すると、時計の針がちょうど7時を指している。

「じゃあ、またあとで」と一言告げられ、槍田くんとの通話は終了した。


それからして、早足で教室に戻った私は、作業に使っていた道具類を片付けて、ももちゃんに一声かけてから学校を後にした。