剣城くんは押し強い



…それにしても、あれだな。

剣城くんの横顔、すっごく綺麗だ。


「…盾石はさ、弓地(ひきち)と同じグループじゃなくてよかったの?」

「……へっ!?」


無意識に見惚れていたら、不意に剣城くんの視線が私の方へと向けられる。


「わたっ、私、裁縫は得意じゃない、から……」


ももちゃんは衣装係で、私と剣城くんは宣伝係。

衣装係と言っても、クラスTシャツを作る作業だから、手先が器用な人しかできない仕事だ。

それに、大体の人たちが友達同士でそれぞれの担当グループに分かれているのがほとんどだが、私は剣城くんと一緒になりたいと思って、宣伝係に手を挙げた。

つまり、これは私の下心での行為となる…!!


「宣伝係、女子少ないけどいいの?」


顔を覗き込むような姿勢で、ほくそ笑む剣城くんにきゅんっ…と、胸がときめいた。

思い返してみれば、剣城くんの笑った表情を見て、私はいつも心臓を射抜かれていたのだと気づかされる。


「…っ、つるぎくん、と…一緒に作業したかった、から……」


我ながら、大胆なことを言ってしまった。

じわじわと、全身が熱を帯びていく。