「…まあ、とりあえず、あやとが最近何考えてんのか上手いこと探ってみるよ。ゆずなは自分のすべきことに集中したらいいからさ」

「あたしも剣城のこと、目を凝らして見とくわ」

「ももちゃん、柚希…」


さっきまで槍田くんの件で物凄い形相をしながら大ブーイングしていたのに……。

良い友人と弟を持ったなぁ…と、感動したのも束の間。


「柚奈に告白された時の剣城の反応、あたしは号泣するに500円賭けるわ」

「そんじゃあ、オレは動揺して慌てふためくに700円」


私たちの恋の行方に賭け事を始める2人の会話を聞いて、熱くなっていた胸元辺りが一気に冷めていくのがわかった。


「人の恋模様でお金を賭けるんじゃないよ!!!」


そう叫ぶと、自分の声が山彦のように残響となって木霊(こだま)したのだった。