「あっ!つるちゃーん!!」
ドクンッ…と、心臓が嫌な音を立てる。
正門の方から矛杉くんの声が聞こえて、咄嗟に後方へ振り返ると───…。
「忘れ物見つかった〜!?」
生徒玄関の入り口付近に、剣城くんがじっ…と私と槍田くんを見ている姿が目に入った。
今度は嫌な汗が背中を伝う。
…何で、まだ学校にいるの?
私より先に帰ったんじゃなかったの?
そんなことより、何で私は、浮気現場を目撃されたような気分なっているのだろう。
剣城くんがゆっくり正門に向かって歩いてくる。
…さっきの話、聞かれてない、よね。
そもそも剣城くんは、槍田くんのことを知らない。
会ったこともなければ、顔を見たこともない。
剣城くんの前では、一度も槍田くんの名前を口にしたこともない。
だから、大丈夫…だよね?
剣城くんは、こちらを一切見ることなく、横を通り過ぎた。
「ごめん、お待たせ」
「つるちゃんが忘れ物とか珍しいじゃん」
いつも通りの雰囲気を纏い、友人たちと学校を後にする剣城くん。
「…あっ、待って盾石!」
嫌な予感がした私は、彼を追いかけようとしたのだが、槍田くんに腕を掴まれて動けなくなる。


