剣城くんは押し強い


私よりも倍以上ある大柄な男たちの視線が一気に自分の方へと注目を浴びる。


「なあ、この子槍田の何?」

「ん?あぁ、あれだよ。元カノ」

「違うよ!!」


即否定すると、槍田くんも「盾石の言う通りだよ」と、フォローしてくれる。


「いいじゃんか別に〜。中学の卒業式ぶりに再会したんだしさ〜。ワンチャン恋愛に発展する説もあるじゃん?」


また余計なこと言ってきた…。
本当に面倒くさい。

そう思いながら、同級生の発言に顔をしかめる。

すると、周りの男子たちが「うわ、なんか漫画みたいな展開〜!」と、口々に騒ぎ出す。


「……そうやって、茶化して人を揶揄うのやめろっていつも言ってんじゃん」

「何だよ、そんな怒んなよ〜。オレだって嬉しいんだぞ〜?ずーっと片想いしてた柚奈に会えてめちゃくちゃテンション上がってるくせによ〜」

「───えっ…」


一瞬、耳を疑った。

今、なんて言った?
"片想い"って、言わなかった?


恐る恐る槍田くんの方を見上げると、

「……っ」

友人からとんでもない暴露をされてしまった彼は、動揺を隠せないあまり、頬を真っ赤に染めていた。