「あれから体調どう?もう平気?」
人通りの少ない非常階段に到着すると、剣城くんが心配した表情で聞いてきた。
「大丈夫だよ」と答えると、今度は申し訳なさそうな顔を浮かべる。
「…本当にごめん。あの時、盾石のこと全然考えてやれなかった。盾石がただ辛い思いして、話を聞くことしかできなかったし……」
「…えぇっ!?い、いやいや…そんっ…謝らなくていいよ!私、剣城くんに話聞いてもらったおかげでだいぶ心が軽くなったんだよ!だから、何にも心配いらないよ?」
拳を握り、片手を掲げてガッツポーズをしながら笑顔で言う私に、剣城くんの表情はまだ曇ったまま。
そんな顔、しないでよ。
…いや、剣城くんに悲しい顔をさせているのは、100%私のせいじゃないか。
目の前で吐いたし、事故のことや心の奥底で抱えていた思いを聞いてもらったし、色々気を遣わせてしまっているのかも。
ごめんよ、剣城くん…!!
申し訳ない気持ちでいっぱいになっていると、しばらく黙っていた剣城くんがゆっくりと口を開いた。


