「はい、それでは!文化祭でのクラスの出し物───『君のハートにズッキュン♡チュロス!!』に決定でよろしいでしょうかー!?」


黒板の前に立つ矛杉くんは、耳に手を当てて、クラスメイトたちの返事を求めた。

すると、クラスメイト一同、声を揃えて。


「「「異議なーし」」」


いえーい、と皆が賛成をする。


「出店のネーミングセンスがちょっとあれだけど…クラス一丸となって頑張ろうぜー!」

「矛杉のネーミングセンスは壊滅的だけど…まあ、とりあえずやってやりますか〜」

「おーい、誰ですか〜?俺のネーミングセンスがひどいって言った人〜??」


季節はまだまだ猛暑が続く9月上旬。

2学期の始まりと同時に、毎年10月頭頃に行われる文化祭に向けて、クラスの出し物がたった今決まったばかりだ。


あれからひまわり園以降、夏休み中はほとんど剣城くんと会うことはなかった。

連絡を取ることもなく、気づけば2学期に突入しており、今に至るというわけだが……。


友人と話している剣城くんの姿をちらっ、と盗み見る。