「……剣城くん、今日はありがとう。楽しかった」


それだけ言って、柚希と公園を後にする。

2人が去って行く姿を眺めていると、雷太さんのまじまじと見つめてくる視線を感じた。


「…それにしても絢人くん、めちゃくちゃかっこよくなったなぁ…。一瞬、誰かわからなかったよ」

「あぁ…えっと、どうも……」

「こっちにいつ戻ってきてたの?」

「去年の3月くらいです」

「そっかぁ…」


眉を下げて小さく笑う表情は、やっぱり家族なんだな、と改めて思う。

柚希も盾石も、笑うと雷太さんにそっくりだ。


「……あの、雷太さん。柚奈さんの、体調のこと、すぐ気づけられなくてすみませんでした…」


盾石本人にも謝りそびれたため、また今度謝罪をしなければ…。

心の中で考えながら、雷太さんに向かって頭を下げる。

謝って許されるわけがないのは、分かってる。

だけど、言葉にして詫びを伝えなければならない───そう思った。


すると、上の方から「うぉえっ!?」と、驚いた声が降ってきた。


「あああ、絢人くん、そんな、気負わなくていいよ…!?」

「でも……」