握っている手をそのまま引っ張られて、彼の胸元へとバランスを崩してしまう。

そして、剣城くんがぎゅっと私を抱きしめた。


「……つるぎくん」

「ん?」

「ごめんね…」

「だから、何で謝んの?」

「……いっぱい迷惑かけたし、変な話も聞いてもらった。本当にごめん」

「盾石は何にも悪くないよ」


剣城くんのシャツを掴んで、肩を震わせながら再度涙を流す。


ずっと、胸の奥にしまっていた思いを剣城くんに打ち明けた。

どうしてなのかはわからない───けど、知ってほしかった。


私は、好きな人に自分のことを知ってほしかったんだ。


私の話を最後まで聞いてくれて、抱きしめてくれて。

剣城くんの優しさに心がじんわりと温かくなる。


新しいクラスになって早々、いきなり告白してくるし、首筋噛んでくるし、体触ってくるし、唇だって奪われてしまった。

そして、その押し強い好意に私は、防御しきれなくなって。


──『早く俺のこと好きになってね、盾石♡』


あの日、青ざめる私とは反対に、満面の笑顔で見下ろしてくる彼の言った通り───…剣城くんを好きになった。


本当は、今すぐ『好きだよ』って、伝えたかったけれど、色々と泣き疲れて、そのまま眠りに落ちてしまった。