剣城くんは押し強い





小学1年生の頃、お母さんと2人でお出かけをした帰りのことだった───。


『今日の晩ごはん何にしよっか』と、お母さんに聞かれて、他愛もない会話をしながら横断歩道を渡っていた途中。

視界の端に一台の車が猛スピードでこちらに向かって突っ込んで来るのがわかった。

振り向くと、車が目の前にあって。


どうして赤信号なのに、この車は止まらないんだろう。

どうしてこんな近くにあるんだろう。


そんな疑問と同時に、お母さんが突然、私を守るように抱きしめた。


『…?おかあさ──』


そう言いかけた瞬間、視界が真っ暗になった。





気がついた時には、何故か道路の中央で寝そべっていて。

体全身に激痛が走り、意識も飛びかけそうになる中、ふと横を見ると、お母さんは目を開けた状態で横たわっていた。



「そのまま意識を失ったと思ったら、いつの間にか私は病院のベッドの上で眠っていた…」



事故にあってすぐに誰かが救急車を呼んでくれたらしいけど、お母さんはもう手遅れだった。

病院に向かっている最中に息を引き取ったそうだ。