剣城くんは押し強い





ひまわり園を後にして、地元の最寄り駅に到着した私たち。

剣城くんへの気持ちを自覚した途端、今までのようにろくに会話をすることができず、お互い無言の状態で改札を通り抜ける。


「……」


駅を出たら、このまま現地解散…だよね。

もう少し一緒にいたかった……なんて。


……いや、私キモっ。


そんなこと一度も考えたことなかったのに、急に厚かましい欲を出すとか…。

ドキドキを通り越して、逆に冷静になってしまう。


「盾石、行こ。家まで送ってく」

「ゔえっ!?いいい、いやそんな、申し訳ないっていうか…!」

「俺がまだ一緒にいたいんだけど……だめ?」


彼の寂しげな瞳にぐっと言葉に詰まってしまう。

そ、そんな可愛らしい表情で見つめないでいただきたい。


剣城くんに家まで送ってもらいますか?▼

▶︎Yes
 No

もちろん、"Yes"である!!


「ダメジャナイデス…」


そう返事をして、ロボットのような歩き方で剣城くんの後をついていく。

その時、遠くの方から救急車のサイレンの音が耳に入った。

反射的にビクッと肩が動く。