剣城くんは押し強い


嬉しくて泣きそうになった私は、何とか声を振り絞って「ありがとう」と、お礼を言う。

……こんなにも、私みたいな人間を好きでいてくれる人がいるというのに、どうしてすぐに答えが出せなかったんだろう。


「盾石、ひまわりの花言葉知ってる?」

「……うん、知ってる」


お母さんの1番好きなお花だから。

ひまわりと一緒に花言葉も教えてくれたから、よく覚えている。


ひまわりの花言葉は、「憧れ」や「情熱」。

そして───。



「「『あなただけを見つめる』」」



パッと顔を上げる。

すると、驚いた表情をした剣城くんと視線が絡み合う。


「あははっ、ハモった!」


可笑しげに笑う彼。

笑った拍子に八重歯が覗いて顔つきも幼くなる。


燦々と照り輝く剣城くんの笑顔に、思わず目を奪われた───。


次第に、心拍数と体温が上昇していく。


自惚れたくない。
期待なんてしない。
惨めな気持ちになんてなりたくない。


"恋愛なんて二度とご免だ"───そう思っていたのに……。


「……っ」


沸々と湧き上がってくるこの感情にはもう、後戻りすることなんてできない。


…どうしよう、どうしよう。

とうとう気づいてしまった。








私、剣城くんのこと、好きになってしまった───…。