ー次の日ー
昇降口に到着した私は彼の姿がいないことを確認する。
…よし、剣城くんはまだ学校に来ていない。
それか、もう教室だろうか。
周りを警戒しながらローファーからスリッパに履き替えていると───…。
「ゆーずな!おっはよー」
「どぅぉわっ!!?」
後ろからももちゃんがぽんっと肩を叩いてきて、女の子らしくない声を上げてしまう。
「もももももちゃん、おはよ…」
ドクドク、早鐘を打つ心臓を抑えながらももちゃんこと桃愛ちゃんに挨拶をする。
「どしたの、急に変な声出して。こっちまでビビったんだけど」
「ご、ごめん。ちょっとその…剣城くんに話しかけられたと思ってつい……」
「え、何で剣城??」
キョロキョロ周りを見渡す私にももちゃんは不思議そうな顔をする。
「…いや、あのさ。剣城くんってさ───」
「おはよ、盾石」
聞き覚えのある声がしたかと思えば、ズボッとうなじ部分に誰かの指が侵入してきて、
「うぎゃあっ!?」
あまりのくすぐったさに叫んでしまった。
「つつつ剣城くん、今、指…服の中……」
首の後ろを両手で押さえて彼を見上げる。


