『帰ってくるまで心配で気が気じゃないし仕事が手につかなくなるかもしれない。だから自分の目の届く範囲にいてほしかったんだ』とバレてしまった勢いで熱弁するレイ様。そんな私情に塗れた裏話があったとは思いませんでしたが。

 何はともあれ、議会で承認されたあとは、こんなに至れり尽くせりでいいのかと思うほど、物事がとんとん拍子に進んでいきました。

「ローラ。おまたせ」 
 
 私の大好きな声がして振り返るとレイ様のにこやかな表情が瞳いっぱいに映ります。

「お疲れさまでした」

「うん。疲れちゃったから、休憩しよう」

「はい。ゆっくりしましょう」

 自邸から帰ってきた私は別室でレイ様を待っているところだったのです。差し出された手を取りレイ様に導かれるまま部屋を移動しました。