「べスの顔を見たくなって寄ってしまったのよ。急にお邪魔してごめんなさいね」

「わたくしとしては大歓迎ですわ。ようこそ、おいで下さいました」

 急だろうが、お姉様に会えるのは嬉しい。全然、お邪魔ではない。むしろお会いしたかった。

「水やりをしていたのね。花々が瑞々しくて生き生きしているわ。風も涼しくて気持ちがいいわね。いつもやっているの?」

「ええ。ここ最近の日課なんです。無心になれて癒しにもなりますから」

「そうなのね」

 お姉様の表情は温容で慈悲に溢れていた。



 わたくしたちはいつものテラスに移動して早めの昼食を取ることにした。

 テーブルには前菜やローストチキンや魚介類のカルパッチョやパンにサラダ、スープなど。
 急の変更にも拘わらず品数も十分で、並んでいる料理はどれも手の込んだものだった。
 シェフ達にも感謝だわ。
 心の中で手を合わせた。

「申し訳ないわね。こんなに用意してもらって」

 テーブルの料理を前に恐縮する姉ににっこりと微笑みかけた。