「リッキー様……」
私はかわいそうになって膝を折るとリッキー様の手を握りました。
レイ様の言い分は正しいと思うので異論はありませんが、怒鳴られたら誰だって委縮してしまいます。
「リッキー様。レイ様の言う通りですわ。廊下は走るものではありませんし、人が行きかうところですから、ぶつかって怪我をしたり、物が壊れることもあり得るのです。ですから、注意しましょうね」
私はリッキー様に目線をあわせて、なるべく穏やかに話しました。
「うん。ごめんなさい」
しゅんとして目線を落としていたリッキー様が顔を上げてくれました。
ちゃんと話せばわかってくれます。



