婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています


「リッキー様……」

 私はかわいそうになって膝を折るとリッキー様の手を握りました。

 レイ様の言い分は正しいと思うので異論はありませんが、怒鳴られたら誰だって委縮してしまいます。

「リッキー様。レイ様の言う通りですわ。廊下は走るものではありませんし、人が行きかうところですから、ぶつかって怪我をしたり、物が壊れることもあり得るのです。ですから、注意しましょうね」

 私はリッキー様に目線をあわせて、なるべく穏やかに話しました。


「うん。ごめんなさい」

 しゅんとして目線を落としていたリッキー様が顔を上げてくれました。
 ちゃんと話せばわかってくれます。