「年齢など関係なく相手は王族だ。我々よりも遥かに身分が高い。敬意を払い礼儀を弁えて接していかねばならないのに。本来なら男爵家ごときがお目通りが叶うような方々ではないんだぞ」
「でも、フローラさんとはとても仲良しだったみたいで、リチャード君もローラおねえちゃんとか言っていたし、あたしも仲間に加わりたかっただけなんですけど」
口を尖らせるリリアに悪びれる様子は全然ない。
フローラ嬢は第三王子殿下の婚約者。リチャード殿下とも親しいのだろう。それとこれとはリリアとは何の関係もない。男爵令嬢がおいそれと近づける人物ではないのに。侯爵令嬢で王族の婚約者と貴族の末端の男爵令嬢を同等に語る方が間違っているというのに。
「まずは、殿下とお呼びしなさい。許しも頂いていないのに気安く呼ぶなど不敬だぞ」
「えー。今はお義父とお義兄様だけだし」
「どこだろうと関係ない。その緩んだ心根がいざという時に出るんだ。貴族の立ち居振る舞いを身につけるには時間がかかる。しかし、最低限のマナーは習得しておかないと困るのはお前なんだぞ」
「わかっているけど、難しくて、頭がこんがらがってよくわからないんだもん」



