俺と父の前にはコーヒーがリリアには紅茶とケーキが並んでいる。
リリアは支度したメイドが退室するのも待たずに、ケーキにかぶりついていた。あの日以来、おやつ抜きだったからよほど飢えていたのかもしれないが、それにしてもがっつき過ぎである。品がない。
はあ。そういうところなんだよな。
マナーを学んでも実践がなっていない。言葉遣いもだ。
斜め前に座っている父を見やれば渋い顔でリリアを見ていた。
「しました」
最後の一口を食べ終え紅茶を流し込むように飲んだリリアは元気よく言い切った。
「どんなところを反省したんだ」
「えっ? えっと……」
口先だけではなんとでも言えるからな。返事はよかったが、案の定答えることができない。
「えっとですね。リチャード君を誘ったのが悪かったのかな、なんて」
えへへ……
何故だか照れ笑いをして頬を掻いている。
「リチャード殿下の御名を気安く呼んではいけない。そんなこともわからないのか? それとも殿下自身が許したのか?」
「うーん。許してもらったわけではないですけど、子供ですよ」



