「あれはお伽話のようなものだからなあ。たまたま、何かの音が重なって聞こえたのではないかと言われているから、信憑性のない話なんだよ」
「そうなんですか?」
「うん。ごめんね。ローラが楽しみにしているなんて思わなくて、文献に書いてあった逸話で、花が咲く音なんて普通はあり得ないことだとしても、夢のある話だと思ったんだ」
「そうですよね。常識で考えれば音が聞こえるなんて、信じる方がおかしいですものね」
自分の思慮のなさに気づいて落ち込んでしまいました。
「そんなことはないよ。何事も絶対はないし、この世には人知で計れない不思議なことだっていっぱいあると思うよ。自分が言うのもなんだけど。今日は聞こえなかった、でいいんじゃないかな? お伽話だったとしても、ロマンは残しておきたいなあ」



