「本当はローラを離したくないけれど、譲歩に譲歩して週に半分だけ自邸にかえるのはどうかな? 王子妃教育もあるから、その前後はこちらで過ごす。それで、どうかな?」
「週の半分……それなら、いいかもしれません」
半々なら、両親とも過ごせてレイ様とも過ごせる。名案では。私の顔がぱあと輝きました。
「よろしいのですか? 私に都合の良い我儘なスケジュールで、側近の方々に迷惑をかけたりしませんか?」
「大丈夫だよ。喜んで従ってくれると思うよ。ただし、学園を卒業してからね。送迎をきちんとしたい。それまではここで過ごしてほしいんだ」
毎日、登下校の時間に送ってくださるのは有難いのですが、生徒達の視線が突き刺さって、見守られている感じとかキラキラとした羨望の眼差しとか、黄色い歓声とか。好意的なムードが気恥ずかしくて身の置き所がなくて。
内心はその場からダッシュしたい気持ちを抑えて平気な顔を装っているのです。
事件も解決したことですし、これもいい機会かもしれません。
「送迎もそろそろご遠慮させて」
「俺の楽しみを奪わないでほしい」



