「いいえ。大丈……」
返事の途中で、膝裏を抱えられたと思ったらレイ様の膝の上にのせられてしまいました。
素早い動きに抵抗する時間も与えられません。
最近は要領を掴んだのか動作がスムーズであっという間なのですよね。
いつも機会を狙っているような気さえしますが、それはきっと私の気のせいでしょう。
シトラスの爽やかな香りが鼻を掠めます。いつものレイ様の匂いに安心感を覚えて、気持ちが落ち着いてきました。
「十分に温かいのでお気を使われなくてもよろしいですよ。それにこの体勢だと花が見にくくなってしまいます。レイ様の花のかんばせはよく見えますけれど」



