「やっぱり、冷えてるね」
私の身体を抱きしめながら、心配そうな声が落ちてきます。
足元から冷気が立ち上り体を冷やしてしまったようです。冬の寒さよりはましですけれど、昼との寒暖の差がある分寒さへの調整が難しい。
「レイ様の方が冷えますよ。私は大丈夫ですから」
私の身の心配より、レイ様の身体が大切です。
いつもよりも厚手のシャツにコートを羽織っていらっしゃいますが、それでも十分とは言えないかもしれません。
先日も同じような時間帯に来たのですけれど、今日の方が寒いような気がします。夏に向かう不安定な時期、気温も日々変化するのでしょう。
「俺は丈夫だし、滅多に体調を崩すこともないから……」



