婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています



「い、いえ。寝てしまった私が悪いのですから、本当に申し訳ありません」

 体を縮こませて謝る私に

「気にしなくていいのに。そんなことよりも、もうすぐ花が咲くよ。見逃さないようにしないと」

 私の失態など気にする様子もなく、池を指し示しました。

 反対の手はしっかりと私の手を握って。まるで、逃がさないよと言わんばかりに……

 もしかして、ばれていたのかしら?
 
 レイ様の顔を見ても、微笑みを湛えた表情からは何の感情も窺えません。

 ぎゅっと握りこまれた手から、レイ様の絶対なる意志が伝わるようで、心が張り詰めごくりと喉がなりました。


 優し気な表情なのに……裏腹な気持ちを感じてしまうのは、私の気のせいでしょうか?