お茶を頂き、まったりとしているとレイ様が手招きしました。
レイ様が座っているソファに腰を下ろすとふわりと抱きしめられました。身も心も委ねて寄り添うといつもの香りに包まれます。
「レイ様。そろそろ帰ってもいい頃ではないのでしょうか。怪我も治りましたし、事件も解決したようですから」
犯人が盗賊でそれを指示したシュミット公爵家のメイド。それを扇動したのはビビアン様だと聞きました。
真相を聞いた時には戦慄し驚きと共に悲しみで胸が痛みましたが、ビビアン様の憎しみや嫉妬を宿した目つきや態度を見なくてすむのが唯一の救いでしょうか。
邪魔者だと思われていたのは自分でもわかっていましたから。
ただ、強硬手段に出るほどの憎悪を抱えていたのかと思うとゾッとしてしばらく寒気がおさまらなかったわ。
もしも、誘拐されていたら生きながらに地獄を味わっていたかもしれないと思うと本当に無事でよかったと心底思いました。
今、レイ様の腕に抱かれていることは奇跡でとても幸せなこと。



