「三年後、大臣職を辞してルーカスに爵位も譲り、のんびりと隠居生活を送るつもりだったのだがな。それも出来なくなった。そのつもりで頑張っているルーカスには申し訳ないことをした」
わたくしは大きく目を見開いた。
なぜここにお兄様の名前が出てくるの?
「公爵家にはなんの関係もないとでも思っていたのか? お咎めがないとでも軽く考えていたのか? 未だに自分に非はないと思っているようだからな。先日の黒の騎士団は国王陛下直属で王族専門の警察部隊。滅多に姿を現すことはないから、幻の部隊とも呼ばれていたのだが。まさか、我が邸で目にすることになるとはな」
お父様の口から自嘲気味の笑いが漏れた。



